
「TOEICの模試を何回も解いているのに、なかなかスコアが上がらない」
こういうご相談を、本当によくいただきます。
そして話をよく聞いてみると、その多くが「模試を解いて、答え合わせをして、点数を出して、終わり」になっているんですよね。
結論から言えば、これが一番もったいない使い方です。
模試は「解く教材」ではなく、「復習する教材」だと考えると、伸び方が大きく変わってきます。
今回は、「模試を1回解くだけで終わっている人」に向けて、どのように復習をすれば良いかを具体的に解説します。
目次
なぜ1回解くだけでは伸びないのか
まず、大前提を確認しておきます。
模試を解くという行為は、「今の実力を測定する」ことはできても、「実力を伸ばす」ことにはほとんどつながりません。
これは体重計に毎日乗っても痩せないのと似ています。
測るだけでは変わらないんですよね。
記憶は驚くほど早く抜け落ちる
ドイツの心理学者エビングハウスの「忘却曲線」という研究があります。
これは、人が新しく覚えたことは1日でかなりの部分を忘れ、数日経つとほとんど記憶に残らないということを示したものです。
模試を解いている最中に「あ、この単語わからなかった」「この文法、あやふやだな」と気づいても、そのまま放置すれば数日後にはきれいに忘れています。
そして次に同じような問題が出ても、また同じように間違えるわけです。
耳が痛い話ですね…^^;
これを防ぐのが「復習」です。
忘れかけたタイミングで復習することで、記憶は少しずつ定着していきます。
逆に言えば、復習をしない限り、何セット模試を解いても「間違える問題を確認しないまま次に進む」ことを繰り返しているだけなんですよね。
これでは、なかなかスコアは上がりません。
「測定」と「成長」は別の作業
模試には2つの役割があります。
- 現在地を知る(測定)
- 弱点を見つけて潰す(成長)
多くの方が①で止まってしまっています。
でも、本当に大切なのは②です。
模試を解いて「何点だった」と一喜一憂するのではなく、「どこを間違えたか」「なぜ間違えたか」を分析して、次につなげる。
ここに時間とエネルギーを注ぐことが、スコアアップの近道だと感じています。
「解いて終わる人」がやりがちな3つの落とし穴
復習が浅くなってしまう人には、共通するパターンがあります。3つ紹介します。
❌ 落とし穴① 解きっぱなしで分析しない
一番多いのがこれです。
「模試を1回分解いた → スコアを計算 → 終了」というパターンですね。
先ほども書いた通り、これでは実力が測れるだけで、成長にはつながりません。
「なぜ間違えたのか」を言語化しないと、同じミスを何度でも繰り返してしまいます。
❌ 落とし穴② 正解した問題を見直さない
「合っていたから大丈夫」と、正解した問題を飛ばしてしまう方も多いです。
でも、ここに大きな落とし穴があります。
特にリスニングやパート7では、「あやふやだったけど、たまたま当たっていた」問題が意外とあるんですよね。
こうした問題は、次回も同じように正解できる保証はありません。
むしろ落とす可能性が高いです。
「なんとなく選んで当たった問題」こそ、復習の価値が高いと考えて下さい。
なぜこの選択肢が正解なのかを解説をよく読んで、落とし込んで下さいね。
❌ 落とし穴③ 本番と違う条件で解く
途中で休憩を挟んだり、リーディングを時間無制限で解いたり。
これも、ありがちな使い方です。
TOEIC本番は、約2時間、集中し続ける過酷な試験です。
途中で休憩を挟んで解けば、負荷は本番と全く別物になります。
模試を「本番のシミュレーション」として使いたいなら、必ず本番と同じ時間制限・同じ順序で解くことをお勧めします。
理想は本番と同じ時間に解くことですが。そこまでこだわらなくも大丈夫です。
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復習を深める具体的なステップ
ここからが本題です。
「1回解いて終わり」から抜け出すための、具体的な復習ステップを、リスニングとリーディングに分けて紹介します。
🎧 リスニング編
ステップ1:答え合わせ(スクリプトはまだ見ない)
まず答え合わせだけをします。
この段階では、解説やスクリプトはまだ見ないでおくのがポイントです。
この後、自分の耳がどこまで聞き取れているかを確認するので、先にスクリプトを見てしまうと効果が薄れてしまうんですよね。
ステップ2:ディクテーション(書き取り)
紙とペンを用意して、聞こえた音声をそのまま文字に書き起こします。
これを「ディクテーション」といいます。
一時停止しながらで構いません。
「これ以上は聞き取れない」というところまで、繰り返し聞いて書き取ってみて下さい。
書き終わったら、スクリプトと照らし合わせます。
このとき、聞き取れなかった箇所には印をつけておきましょう。
そして、なぜ聞き取れなかったのかを分析します。
– 単語そのものを知らなかったのか
– 単語は知っているが、音の変化で聞き取れなかったのか(例:going to →「ガナ」、get up →「ゲラップ」)
– 文法・構文が理解できていなかったのか
原因によって対策が変わるので、この分析はとても大切です。
ステップ3:精読で内容を完全に理解する
スクリプトを読んで、知らない単語・フレーズ・構文をすべて洗い出します。
ここで大事なのは、「読んで理解できない英文は、聞いても理解できない」ということです。
まず「読めば分かる」状態を作ってから、次の音読トレーニングに進みます。
ステップ4:オーバーラッピング → シャドーイング
内容を理解したら、音声を使ったトレーニングに移ります。
– オーバーラッピング:スクリプトを見ながら、流れる音声に自分の声を重ねて発音する
– シャドーイング:スクリプトを見ずに、音声を追いかけて少し遅れて発音する
いきなりシャドーイングは難易度が高いので、まずはオーバーラッピングから始めるのがお勧めです。
聞き取れなかった箇所ほど、口に出して真似することで「英語の音」が体に染み込んでいきます。
発音できる音は、聞き取れる音になるんですよね。
※シャドーイングはかなり負荷がかかるトレーニングなので、難しいようであればオーバーラッピングだけをきちんとやって下さい。
オーバーラッピングでも十分な効果が見込めます。
📖 リーディング編
ステップ1:答え合わせと解説の確認
リーディングは、この段階で解説まで読んでしまって構いません。
正解した問題も含めて、「答えの根拠」「他の選択肢が間違いである理由」が自分の考えと一致していたかを確認します。
ステップ2:誤答の原因を言語化する
間違えた問題について、「なぜ間違えたのか」を必ず言葉にします。
– 語彙不足だったのか
– 設問の読み違いだったのか
– 時間が足りずに焦ったのか
– 文構造が取れなかったのか
原因が分かれば、対策も見えてきます。
「なんとなく間違えた」で済ませないことが、伸びる人と伸びない人の分かれ目だと感じています。
ステップ3:精読で構文・語彙を潰す
知らなかった単語・熟語、意味が取れなかった文を、すべて調べて理解します。
本文だけでなく、設問と選択肢まで目を通すのがポイントです。
パート7でよく出る「言い換え(パラフレーズ)」の型や、決まり文句もここで拾えます。
ステップ4:音読で処理スピードを上げる
精読が終わったら、英文を音読します。
TOEICのリーディングは、時間内に大量の英文を処理するスピードが求められます。
音読をすると、英語を英語の語順のまま、頭から理解する力が鍛えられます。
同じ英文を2〜3回、意味を頭に浮かべながら、なるべく速く音読してみて下さい。
最初はゆっくりと音読して、少しずつスピードを上げていくと音読の効果がさらにアップしますので、是非やってみて下さい。
ステップ5:設問タイプごとの解法を整理する
パート7なら、「言い換え問題」「NOT問題」「意図問題」など、設問には型があります。
この型を意識するだけで、処理スピードは格段に上がります。
模試の復習は、単に問題を覚える作業ではなく、「型を身につける」作業でもあるんですよね。
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1セットにどれくらい時間をかけるか
ここまで読んで、「復習にそんなに時間がかかるの?」と感じた方もいるかもしれません。
その通りです。丁寧に復習すれば、1セットに数日かかります。
でも、これでいいんです。
模試を「解くこと」に価値があるのではなく、「復習で学び尽くすこと」に価値があります。
参考までに、ある学習者の方の例を挙げると、次のようなルーティンで700点台から800点を超えたそうです。
- 本番同様に2時間通しで解く
- 復習に最低2日かける(リスニングは音読・シャドーイング、リーディングは誤答分析)
- 間違えた問題は音読や暗唱で体に染み込ませる
- 数日後に同じセットを解き直す
このように、1セットに3日ほどかけるというのは、決して珍しいことではありません。
「3冊をさらっと解く人」より「1冊を徹底的にやり込む人」の方が、圧倒的に伸びることが多いです。
同じ模試を解き直すのは意味がある
「答えを覚えてしまうから、同じ模試を解き直すのは意味がない」と思う方もいます。
でも、そんなことはありません。
解き直しの目的は、答えを当てることではなく、「解法の型」と「処理スピード」を体に叩き込むことです。
答えを覚えていても、時間を測って解き直すことで、「どこで時間をロスしているか」が明確になります。
同じセットを2〜3回繰り返すことには、大きな意味があるんですよね。
復習するときの注意点
⚠️ 完璧を目指しすぎない
「全問を完璧にディクテーションしなきゃ」と思うと、負荷が高すぎて続きません。
正答率が高いパートは、ディクテーションを省いて「頭の中で音声を文字化する」だけでもOKです。
限られた時間を、できるだけ苦手なところに回すことを意識して下さい。
8割できていれば十分、という気持ちで大丈夫です。
⚠️ ルールを決めて取り組む
「音声を流すのは3回まで」「1問に何分以上かけない」など、自分でルールを決めておくと、ダラダラせずに進められます。
復習は大切ですが、時間をかけすぎて演習量が減っては本末転倒です。バランスを取りましょう。
⚠️ 間違えた単語・文法はリスト化する
間違えた単語や文法事項は、ノートやスマホのメモにまとめておくと便利です。
移動中や待ち時間に見返せますし、試験直前の見直しにも役立ちます。
「間違えたものを一箇所に集める」だけでも、復習の効率はぐっと上がります。
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まとめ
模試を「解いて終わり」にしていた方は、次の1セットからでいいので、ぜひ復習の時間を組み込んでみて下さい。
解く回数を増やすより、1セットを深く復習する方が、結果的に近道になることが多いです。
当たり前のことを淡々と続けていけば、スコアは必ずついてきます。
一緒に頑張りましょう!
参考になれば嬉しいです。^^