TOEICのスコアアップには
多読が有効だということを
聞かれた方も多いのではないかと
思います。
TOEIC対策をいっさいすることなく
多読だけでスコアが200点アップした
という人もいます。
多読とは文字通り、
たくさんの英文を読むということです。
果たして多読はTOEICのスコアアップに
効果があるのでしょうか?
この記事では多読がTOEICの
スコアアップに効果があるのかどうかに
ついて書いてみたいと思います。
1.TOEICに多読は有効か?
TOEICに多読は有効かについては
結論がなかなか難しいというのが
正直なところです。
多読は英語力アップに効果がある
ということは間違いありません。
英語力が上がれば、結果的に
TOEICのスコアは上がります。
ただTOEICのスコアを上げるために
多読が効率が良い学習法かと
言えば、効率が良い学習法とは
言えませんね。
多読の効果を実感するには
かなりの量の英文を読まなければ
いけないからです。
語数で言えば、おそらく数万語から
数十万語というレベル。
これだけの英文を読む時間がある
人はあまりいないでしょう。
特に社会人の方で、働きながら
TOEICの対策をしている方であれば
多読にかけられる時間がそこまで
ないですよね。
ですから結論は多読は英語力を
上げる効果があるので、
長い目で見れば、TOEICの
スコアアップに効果があります。
ただ短期間でTOEICのスコアアップを
望むのであれば、学習効率が
良くないので多読はお勧めしません。
但し多読が効果を上げるためには
前提条件があります。
それは精読が出来るということです。
精読について説明しますね。
2.精読とは?
精読というのは、英文の構造を
きちんと理解して英文を読むと
いうことです。
例えば
1.I found this easy book.
2.I found this book easily.
3.I found this book easy.
の3つの英文を構造の違いを
理解して正解に読むことが
できる力のことです。
1の英文は、
IがS(主語)で、 foundがV(動詞)
this easy bookがO(目的語)ですので、
「私はこの簡単な本を見つけた」
という意味になります。
2の英文は
IがS(主語)で、 foundがV(動詞)
this bookがO(目的語)、
easilyはM(修飾語)ですので、
「私は簡単にこの本を見つけた」
という意味になります。
3の例文は
IがS(主語)で、 foundがV(動詞)
this bookがO(目的語)、
easyはC(補語)ですので、
「私はこの本が簡単だと分かった」
という意味になります。
英語がある程度出来る人に
とってはこれらは簡単な英文かも
しれませんが、初中級者の人の
中にはこのレベルの英文を
読み間違える人が結構います。
特に1と3、2と3の例文の意味を
取り違える人はかなり多いですね。
上の英文の意味の違いがよく分からない
という人は、おそらく英文の構造を
意識せず、単語と単語をフィーリングで
つなげて読んでしまっています。
大学受験の時に英文解釈の学習を
きちんとやった人は、大体きちんと
精読することは出来ますが、
学校の英語の授業では精読の方法を
習う機会はあまりありません。
後意味が何となく分かっても
なぜそのように解釈するかが
分からないと、他の英文を読む時に
間違って読んでしまう可能性が
高くなります
ですからまず精読がきちんと
出来るようになってから多読しないと
あまり意味がありません。
私が浪人時代に駿台予備校で
教えて頂いた故伊藤和夫先生は、
「英文を多読して意味があるのは
英文の構造をきちんと理解して
読むことが出来る人だけだ。
よく分からない英文をいくら
多読してもそこから生まれるのは
誤解と妄想だけだ」
とおっしゃっていました。
なかなか辛辣な言葉ですが、
本質をついた言葉だと
私は思っています。^^;
3.精読から多読、速読へ
最近よく聞くのはとにかく
たくさん英文を読んでいれば
英語は分かるようになると
いう主張です。
確かに卓説した能力を持っている
人であれば、英文をきちんと読む
という訓練(精読)をしなくても
多読することで、英文が読める
ようになるということがあるかも
しれません。
ただこうした芸当は
私を含めた99%以上の凡人には
まず無理です。
分からない英文をいくら
たくさん読んでも分からない
ままです。
まず英文をきちんと構造を
意識して読めるようにすることが
重要です。
英文をきちんと読めるように
なれば、その後多読することは
それ程難しいことではありません。
そして多読している内に
英文を読むスピードが上がってくるので
結果的に英文を速く読む(速読)ことが
できるようになります。
つまりリーディング力を上げるためには
まず精読出来るようにすることが
一番重要なのです。
精読出来るようになれば多読出来る
ようになり、多読している内に
結果的に英文を読む処理ピードが
上がってきて、速読出来るように
なると私は考えています。
つまり
精読⇒多読⇒速読
という流れです。
また速読については別記事で
詳しく書く予定ですが、
ただ目線を速く動かかせば
速く読めるわけではありません。
精読できないと多読、速読は
出来ないということです。
4..TOEICと多読のまとめ
英語の聞き流しの記事でも
書きましたが、英語学習者は
どうしても楽な学習法に
流される傾向があります。
「○○するだけで」
「ラクラク、スイスイ○○できる」
というキャッチコピーの学習法や
教材に心を奪われてしまうということも
理解出来ないわけではありません。^^;
ただこうした楽を謳う学習法や
教材に心を奪われていては
英語が出来るようにはなりませんね。
多読するだけでTOEICのスコアが
上がるというブログ記事をたくさん
見かけますが、多読するだけで
TOEICのスコアが上がるのは
おそらく上級者だけです。
上級者は英語の基礎が出来ていますから
多読のみでスコアを上げることは
不可能ではありません。
上級者以外の方はまずは
英文をきちんと精読出来るように
しましょう。
きちんと理解できる英文が増えていけば
TOEICのスコアも上がりますし、
解ける問題数もだんだん増えてきます。
地道な学習を継続して
TOEICのスコアを上げましょう。